最新情報や糀あれこれ
2025/10/09 19:47

名郷糀屋の十七代目として、全国各地の催事(宮崎・栃木・大阪・宝塚)をまわり、約4週間ぶりに工房へ戻ってきました。 今日は久しぶりに、母と一緒に糀づくりをしました。
糀づくりは、僕にとって特別な時間です。 米に触れ、蒸気に包まれ、糀の香りが広がるその空間は、心を穏やかにしてくれます。 催事での疲れも、母と並んで糀を仕込むことで、すっと癒されていくのを感じました。
僕が不在の間も、両親が変わらず糀づくりを続けてくれていたおかげで、名郷糀屋の生糀は全国のお客様のもとへ、変わらぬ美味しさで届いていたと思います。 その姿勢に、改めて感謝の気持ちが湧いてきました。
糀屋を継ぐと決めたのは、会社員だった頃。 父には「会社を続けた方がいい」と言われましたが、母は「あなたのやりたいことをやりなさい」と、迷いながらも僕の背中を押してくれました。 その言葉に支えられて会社を辞め、糀屋としての道を歩み始めました。
一年間、必死に糀づくりに向き合っていた頃、母も自分の仕事を辞めて、僕と一緒に名郷糀屋を支えてくれるようになりました。 今日、糀を仕込みながら昔の話をしていたら、母がふと「最初は何も仕事がなくて、一緒にドラマばかり見てたよね」と笑って言いました。 「今は毎日忙しくて大変だけど、糀屋として必要とされてることが幸せ」と話す母の言葉に、胸がいっぱいになりました。
僕はもっと頑張って、母に素敵なプレゼントを贈れるような息子になりたい。 そして、名郷糀屋の糀が、誰かの暮らしにそっと寄り添えるように、これからも心を込めて仕込んでいきます。
糀づくりは、家族の絆を深めてくれる大切な時間。 これからも、母とともに、名郷糀屋の味と想いを守り続けていきたいと思います。